私たちについて

大会趣旨

2025年台北大会メインテーマ:家鄉守護 跨域共學

                       ふるさとを守り、越境しながらつながる学び

文化資産の価値をすべての人々が共有し、国境を越えて、共に学び合うことが本大会のメインテーマです。

文化は「生きている」存在であり、常に現代の私たちと影響し合っています。

分かち合えば分かち合うほど、私たちはより豊かに、より多様になります。

分かち合えば分かち合うほど、国や地域を越えてお互いを理解し合えるようになります。

分かち合えば分かち合うほど、文化の保存と継承に向けて、私たちはより強く団結できるのです。

 台湾は、物語に満ちた島です。私たちは、太平洋に浮かぶこの島で、歴史と時代の移り変わりの中、揺るがぬ意志とともに自分たちの未来を切り拓いてきました。これは、台湾歴史資源経理学会の仲間たちが、38年間にわたり文化資産の保存と教育に取り組んできた最大の信念でもあります。

 その信念は、文化保存の道のりが決して孤独なものではないということを、私たちに教えてくれました。台湾では、地域や集落へと足を運び、先人たちが汗と努力で築き上げた歴史を一つひとつ守り続けてきました。また、国際的な実務活動にも参加し、マレーシア、インドネシア、日本などの環太平洋の各地域を訪れ、歴史的なつながりを紡ぎ続けてきました。さらに、日本各地の文化保存活動継続して関わり、台湾、東アジア、東南アジアといった地域の文化的なつながりを、より明確に描き出し、学びと交流のためのプラットフォームを築いてきました。

 私たちが毎年必ず参加している「全国町並みゼミ」は、強くて温かみのある民間団体によって開催されています。地域からの草の根の力と強い文化的共通認識を通して、日本における有形・無形の文化資産の保存を継続的に推進してきました。また、政府と協力して法制度を検討・整備し、国の発展と文化の保存を両立して進めていけるよう取り組んでいます。

 2024年は、全国町並み保存連盟の創立50周年という節目の年でした。その年の大会において、2025年秋に史上初となる海外大会を台湾・台北で開催することが決定されました。日本からは100名以上の会員の参加が予定されています。同時に、インドネシア、マレーシア、タイ、マカオなど、アジア各地からも文化保存に携わる仲間たちを台湾へ招待しており、本大会がより国際的で有意義な交流の場となることを目指しています。私たち台湾歴史資源経理学会は、環太平洋地域において、文化資産の保存に尽力している仲間たちが一堂に会し、学び合い、交流する、この歴史的な舞台を実現するという重要な役割を担っています。

本大会は、全国町並み保存連盟の大会であるのと同時に、

アジア地域全体の国際的な大会であり、文化を未来へ継承していくための大切な大会でもあります。

 文化資産の保存活動に、より多様な文化的刺激と未来の可能性をもたらすため、私たちは今後も、環太平洋地域における文化資産および文化保存の重要な担い手たち、そしてさまざまな世代の実務者たちの参加を引き続き呼びかけていきます。島々の交流が、地域や言語、年齢や政治といった壁を越えて、ともにきずなを深め、ともに創造し、ともに紡いでいけるように、文化と歴史の輪郭が、再び国境を越えて広がり、「私たちの歴史」が、やがて「私たちだけの歴史」ではなくなることを願っています。

台北大会のキービジュアル
•インスピレーションの源:吉田初三郎〈 始政四十周年紀念臺北市鳥瞰圖 〉
•キービジュアルデザイン:羅文岑 林建志
•地図考証:台湾歴史資源経理学会

Communities and places in Asia have faced more challenges to prolong it’s culture and memories, while some have already been swiped out by disasters or industrialization, some may have been preserved not catching on to modernization process.  Taiwan, is where all kinds of examples assembles.

The Japanese Association for Machinami Conservation and Regeneration(JAMCR) is an NGO that continues to create consensus from the bottom-up, to influence the conservation policies of tangible and intangible cultural heritage, so that culture preservation can collaborate and progress with national development. After interacting and learning from JAMCR for over two decades, on the eve of celebrating its 50th anniversary, the Association decided that their next annual conference will take place in Taiwan. This meeting will not only be a meeting for the Japanese community enthusiasts, it shall be a meeting for all Asians, and it shall not bear the barrier of border, language, politics and age. We can open the door to learning from each other, crossing-over without limits!

Taiwan is an island full of stories, and its people are extremely tolerant whether they were facing historical turmoil or changing of governance, the people are determined to build their own games, which resulted in a very distinct way of living. Across Asia, we realize that the same resilience is happening over and over again throughout Asia, and communities that have clearly learned from each other when they have the chance to meet.

主催団体 台湾歴史資源経理学会

 私たち台湾歴史資源経理学会の前身は、1986年に設立された「楽山文教基金会」です。丘如華女史が執行長を務め、環境文化教育を最優先に、若者の教育、文化資産の保存、集落の確定、環境の保全などをメインに活動してきました。1987年に台湾の戒厳令が解除されると、そのわずか1か月後には、「我愛迪化街」保存運動を立ち上げ、都市の保存やふるさと保全教育に取り組んできた、台湾でも数少ない非政府組織(NGO)の一つとして知られています。

 2004年6月には、非営利組織(NPO)として台湾歴史資源経理学会(IHRM)が正式に設立されました。私たちは、多国間の国際交流を通して、歴史資源および空間環境の持続可能な管理を促進してきました。また、国民の文化的生活の質と空間を豊かにすると同時に、地域の魅力や経済的な活力を高めることを目指し、国際的な参加・情報交換・相互支援の推進にも取り組んできました。理念と実践のバランスを重視しながら、常に開かれた姿勢を大切にし、行政・計画・実行の各面から、歴史保全・都市開発・文化発展といった課題を統合的に捉え、多様なアプローチや方法や協働の形を模索しながら、様々な活動の推進と実現に取り組んできました。

文化資産保存の研究 先進的な歴史保全の理念と方法を提唱し、文化資産の調査・活用・再利用を進めています。
政策の推進と企画 政府と民間の架け橋として、政策の立案・提言・推進を支援しています。
国際交流 台湾と国際的なNPO・NGOをつなぐプラットフォームとネットワークの開拓に取り組んでいます。
住民の参加 住民と協働し、文化観光や地域産業の再生に関する戦略や実施の仕組みについて議論を進めています。
歴史的空間の経営と教育普及 歴史資源の管理・運営に関する教材やカリキュラムの開発・人材育成・市民教育に力を注いでいます。

 設立以来、私たちはアジア各地の保存団体と積極的に友好関係を築き、相互交流と支援を目的とした国際的なネットワークの形成に取り組んできました。その中でも特に、日本の保存団体とは深い友情を育んできました。1991年、丘秘書長はアジア太平洋地域の文化保存関係者たちとともに、国境を越えた保存交流団体の設立を提唱し、マレーシア・ペナンにて設立されたアジア西太平洋都市保存ネットワーク(AWPNUC)を通して、西村幸夫教授と知り合いました。その翌年、西村教授の紹介により、丘秘書長は全国町並み保存連盟が福岡県吉井町(現在のうきは市)で開催した第15回全国町並みゼミ吉井大会に初めて参加しました。

 それ以来、丘秘書長は、ほぼ毎年全国町並みゼミに参加し続けてきました。時には台湾の関係者を伴って出席し、また時には招かれて台湾での保存活動の近況について講演するなど、20年以上にわたり欠かすことなく関わり続けてきました。丘秘書長は、全国町並みゼミへの積極的な参加と、日本各地の集落保存団体との交流を通じて得た多くの知見を台湾に紹介してきました。その中でも、特に重要なのが、「集落保存」の概念です。 台湾の文化資産保存法は、長い間単棟建築という個別の建物を対象に史跡を指定してきました。しかし、その建物が属する集落全体の重要性や、そこから派生する産業や生活圏は見過ごされてきました。そして、もうひとつの重要な概念は、地域社会における「草の根的な住民参加」の精神です。これも台湾にとって大切な学びの一つでした。

 また、台湾歴史資源経理学会は西村幸夫教授の著書「町並みまちづくり物語」と「観光まちづくり:まち自慢からはじまる地域マネジメント」の台湾での出版を促し、台湾の地域社会に日本各地の魅力的な事例を積極的に紹介してきました。これらの書籍は、台湾の地域社会にとって学びの手本となりました。特に日本の飛騨古川の事例はよく知られ、映像化されただけでなく、台湾の小学校の教科書にも取り入れられ、子どもたちが幼い頃から環境を大切にし、ふるさとを守る心を育む教材として広まりました。

 全国町並み保存連盟の仲間たちとの長年にわたる交流は、台湾が1999年の921大地震で甚大な被害を受けた際の迅速な支援にもつながりました。日本は、倒壊した集集駅の再建に協力してくれただけでなく、映像による交流を通して、被災地の人々の心の復興や暮らしの再建にも尽力してくれました。当時、台風による被害に見舞われていた日本で開催された「第22回全国町並みゼミ臼杵大会」では、台湾から丘秘書長が初めて招かれ、「台湾921集集大地震後の文化資産保存の現状と未来」と題した講演を行いました。現地では募金活動が行われただけでなく、会議の中では台湾の歴史的建築の再建を最大限に支援する内容の決議が採択されました。こうした貴重な交流をきっかけに、2004年のインド洋大津波、2011年の東日本大震災など、その後に発生した災害の際にも、私たちは国境を越えて互いに助け合い、震災後の復興経験を共有し続けてきました。

 台湾歴史資源経理学会は、これまで国内外の多くの民間団体と協力し、互いに支え合う関係を築いてきました。その過程は、台湾内外をくまなく歩んだ地道な努力の積み重ねでありながら、実り豊かな成果を生み出してきました。こうして築き上げてきた国際的な交流の経験と基盤が認められ、2005年には愛知万博において、台湾唯一のパートナー団体に選出されました。また、2013年には台湾の平渓線と日本の江ノ島電鉄との間で観光連携協定を実現し、さらに同年の、瀬戸内国際芸術祭では、「福武ハウス-アジア・ アート・プラットフォーム」において、台湾キュレーション代表団体を務めました。私たちは2004年の設立以来、創設時の理念を守りながら、環境の保護、文化資産の保存、歴史資源の活用、次世代への教育、そしてふるさとの守り手として、より先を見据えた取り組みを続けています。

 本大会の運営は、台湾歴史資源経理学会を中心に以下のような分野横断型の実行委員会によって構成されています:

名誉実行委員長王榮文│遠流出版社社長、台湾文創発展股份有限公司董事長
実行委員長丘如華│台湾歴史資源経理学会秘書長
学術委員長郭瓊瑩│文化大学景観系教授、中華民国景観学会名誉理事長
実行委員陳啓仁│国立高雄大学校長
実行委員三文字昌也│合同会社「流動商店」創辦人、東京大学工学系研究科都市工学専攻特任研究員
実行委員于國華│国立台北芸術大学芸術行政與管理研究所副教授
実行委員王新衡│雲林科技大学文化資産維護系副教授
実行委員江明親│国立台北芸術大学建築與文化資産研究所副教授
実行委員呂耀中│逢甲大学建築系助理教授、建築研究設計中心主任
実行委員李正芳│台湾文創発展股份有限公司顧問
実行委員李東明│台湾歴史資源経理学会理事長
実行委員林 璞│台湾文創発展股份有限公司芸文総監
実行委員林 鍫│国産建材実業建設総処総経理
実行委員林美吟│金門大学建築系教授
実行委員林書豪│星濱山共創工作室負責人
実行委員林崇傑│財団法人台湾古跡與歴史建築保存基金会執行長
実行委員侯志仁│シンガポール国立大学建築系系主任
実行委員栖来ひかり│作家、台湾協会台湾連絡所長
実行委員堀込憲二│中原大学建築系退休教授
実行委員連振佑│朝陽科技大学景観及都市設計系副教授兼系主任
実行委員郭中端│中冶環境造形顧問有限公司負責人
実行委員陳玉秀│交通部観光署署長
実行委員陳彥良│輔仁大学景観設計学系兼任助理教授
実行委員陳盈潔│台湾永続旅行協会理事長
実行委員陳國偉│台湾歴史資源経理学会常務理事
実行委員黃士娟│国立台北芸術大学建築與文化資産学系副教授
実行委員楊玉如│台湾社造連盟理事長
実行委員葉意雯│中国科技大学室內設計系兼任講師
実行委員袁子賢│国立台南芸術大学動画芸術與影像美学研究所助理教授
実行委員渡邊義孝│日本一級建築士
実行委員龔卓軍│台南市美術館館長

共催団体 全国町並み保存連盟

 全国町並み保存連盟は1974年4月、「今井町を保存する会」(奈良県橿原市)、「妻籠を愛する会」(長野県南木曽町)、「有松まちづくりの会」(愛知県名古屋市)という3つの住民団体が集まって結成されました。 「町並みはみんなのもの」を合言葉に、「ふるさとの町並みを守り、よりよい生活環境をつくること」を目的に、設立以来一貫して活動を続けてきており、2003年には、特定非営利活動法人(NPO法人)の認証を受けました。 現在、全国町並み保存連盟には68の団体会員と135名の個人会員が参加しており、各界からの支持を受けながら、2024年で設立から50周年を迎えました。

 主要な活動の一つである「全国町並みゼミ」は、毎年、各加盟団体が持ち回りで主催しています。1978年に第1回全国町並みゼミが、愛知県名古屋市の有松町と足助町(現在の豊田市)で開催されました。この2つの地域は現在、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。このように、全国町並みゼミの開催がきっかけとなって、歴史的な町並みの保全やまちづくりが活発になった地域はこれまでに数多く存在します。2023年に第46回大会が開催された北海道小樽市では、小樽運河保存運動が進行していた1980年に第3回、その後観光地として知られるようになった2001年に第24回が開催され、そして現在は「歴史的風致維持向上計画」の認定取得に向けた取り組みが進められています。また、2024年の大会は、1982年、1998年に続いて3回目となった東京での開催となり、墨田区の京島を会場として、歴史的な町並みを構成する「長屋」をテーマに開催されました。

公式ウェブサイトはこちら:https://www.machinami.org

主な役員一覧
理事長 福川裕一(千葉大学名誉教授)
副理事長 殿塚 治(栃木蔵街暖簾会)
斎藤行雄(臼杵のんき屋)
北島 力(八女福島町並み保存会)
常任理事 海野 伸(NPO法人盛岡まち並み塾)
大倉 宏(新潟まち遺産の会)
高橋 徹(NPO法人伊勢河崎まちづくり衆)
中村泰典(NPO法人倉敷町家トラスト)
西村幸夫(個人会員・國學院大学教授)
事務局長 山本玲子
特定非営利活動法人 全国町並み保存連盟

電話:03-6240-0321/Email:matinami@pop02.odn.ne.jp
住所:〒112-0002 東京都文京区小石川5丁目3番4号 La Verriere文京6F
  (株式会社 町づくりカンパニー・シープネットワーク內)

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